専業→ワーママになってから変えた“時間とコスト”のつかい方
前回のコラムで働くにいたるまでのことを書かせていただきましたが、実際にスタートしてみると特に【時間】と【コスト】の感覚が専業主婦時代とは違うと感じています。時間とお金を失ったのではなく、つかい方が変わりました。
【時間】について。働きはじめるとフリーランスとはいえ“ご迷惑をかけてはいけない誰か”との時間にまつわる拘束が山ほどあります。これまでのように子供中心にスケジュールを組むわけにもいかず“両立する工夫”が必要だと痛感する日々。これは子供が2人になったのでいっそうの課題となりましたが、仕事をするうえで【時間にまつわる工夫】として次の4つの工夫をしています。
1.脳内準備をする
子育て中や家事、運転中などPCに触れない環境でも手が空いたらパッと取りかかれるように頭の中で原稿や資料の構成、メール文面などを決めておく。忘れないようにダイニングにメモを常備する。チャットワークやGmailなどスマホでも確認、即レスできるようにアプリを入れておく。
2.独自コアタイムで仕事を分散させる
今のライフスタイルでは会社員のような連続したコアタイムが設けにくく「あと少し!」の残業が夕方にしわ寄せになることも。独自コアタイムとして、朝・昼・晩に仕事を分割して完成させ、育児コアタイムと組み合わせる。
例)独自コアタイム 朝:10〜12時、昼:13〜16時、夜:21〜23時
3.スピード主義をやめる
独身時代に染みついた“スピード主義”をいったんやめて余裕のあるスケジュールを組み、期日までに丁寧な納品することで修正ボリュームを極限まで減らす。納期は具体的に設定する。ただし報連相は最速で。
例)「なるべく早めにやります」→「木曜日の午前中にいったんお出しします」
4.時にはメールより電話
相手がオンタイムなら敢えて電話することも。丁寧なビジネスメールよりも早く済み、かつ相手の温度感を知るコミュニケーションにもなる。その際“今こんな状況です”と伝えておく。相手が出なければメールやチャット、留守電で要件を伝えてかけ直しの手間を無くす。
【コスト】について。例えば夕食作り。保育園帰りでお腹をすかせた娘を待たせながら作ると猛烈にグズられ自分が泣きを見ることに。一度だけ、あまりにも急いで作ったために手をザックリ!ふた針の縫合程度で済みましたが、そんなこともあって今では平日は “カット済み”の野菜や肉を選んだりお惣菜も買うし、ネットスーパーなど多少割高でも時間短縮できる方法に切り替えました。朝のうちに夕食作りの8割を済ませたり、つくりおき惣菜にも挑戦しています。
「手作りじゃなくてごめんね」と思うこともありますが、子供を泣かせて鬼の形相で料理をするよりも“お惣菜のプロ”の味を「美味しいね〜」と一緒に食べるほうがお互い笑顔でいられます。それに食品アレルギーがある娘はふだん保育園でひとりきりで食事をしているので、なるべく一緒に食卓を囲みたいという思いもあります。幸い夫も買ったお惣菜でも、ときには前日の残りものでも文句を言わず一緒に食べてくれるのでプレッシャーが少なくて助かっています。(けっこう重要ですよね!)この他にもアイロンよりクリーニング、買い物よりデリバリー、テイクアウトなど臨機応変にコストをかけています。
喧嘩もした!ワンオペ育児は誰でもキツイ。そして生まれた“夫婦ノート”
最近話題の“ワンオペ育児”。我が家もよく夫が出張で家を空けますし、朝早く帰りも遅いので平日はまさしくワンオペ育児です。余裕のないときに可愛いわが子に抱っこをせがまれ「誰か!たまには私のことも抱っこしてくれよ」と、おとなげなく涙したことが何度もあります。私を抱きしめる小さな娘の手、余計に不甲斐なくて涙です。
こんなワンオペ育児をこなすのはたいていママ=女性ですよね。でもキャパオーバーになってワッと泣き出すのは“女性だから”じゃなくてきっと男性もそうなるはず。泣き出さなくても、キッチンドランカーになったり逃亡しちゃうとか(笑)なんらかの方法で爆発するんじゃないかと睨んでいます。大好きな映画「マイ・インターン」で印象的だったのは、アン・ハサウェイ演じる主人公の自立とサクセスを支える“専業主夫=パパ”が力なく放ったひと言、「ひとりの時間がほしい」。これって育児家事につかれた誰もが思うことではないでしょうか。家内安全を実行し続けるって猛烈に価値の高いことですし、けっこうパワーがいるのに“無償労働”として評価されにくいから悩ましい…。つまり子供が小さいうちは誰でもワンオペ育児はキツイってことです。
お恥ずかしい話ですが、私たち夫婦はかなり喧嘩してきました。とにかく夫婦の時間が無いことがスレ違いと喧嘩の原因になっていたと思います。平日はまともに顔を合わせて話す時間が無く、休日も子供中心であっという間に月曜日。ひとり悶々とする日々。それこそお金の相談や転勤の可能性、働き方、子供の進路など親として夫婦としてザックリとでも意見交換する時間すらなくて不安でした。それに子供の成長報告などささやかな日常の喜びをシェアしたいのにな、という淋しさも。
そこで考えたのは「夫婦ノート」です。いわゆるなつかしの“交換ノート”なわけですが、導入することにしました。LINEは便利ですが“既読スルー”でヤキモキするのも嫌ですし、LINEで喧嘩なんて仕事の邪魔にしかならず気持よく解決したためしがありません(笑)「夫婦ノート」はお互い仕事を終えて、ダイニングテーブルに座った時にだけ開いて、書ける時だけ書く。項目は【共有】【相談】【メッセージ】それだけです。あとは自由に落書きしたり、気楽な感じです。改善して欲しいことも直筆にすることで喧嘩口調にならないし、素直に感謝の言葉も出てきます。始めはこんな古典的なやり方に乗り気じゃなかった夫も「どれどれ」なんて言いながら活用している様子。(スマホでヤフー・ニュース見るより先に読んでくれているはず!)効果は抜群、喧嘩は激減です!はじめより頻度が落ちても有効なツールだと思っています。
こんな風に、子供が増えても私が働き始めても、“育児家事のコアタイム”を一緒に切り抜けられなくても、あきらめないで歩み寄る方法を探すことが大事なんだなと実感しています。仕方ない状況を今すぐ変えることはできなくても“お互いの大変さが理解されている”というだけでも心の負担がずいぶん軽くなります。ねぎらいついでに冷凍庫にハーゲンダッツの新作も入れておいて貰えたら最高なんだよなあ。なんて。
幸運の女神=ママ友との出逢いで全面展開!広報復帰のチャンス
少し仕事のことに話を戻します。私が経験を活かして働けているのは、子育て支援センターで出逢った1人の優秀なママ友のお陰なのですが、彼女もまた転勤で新潟に来て、フリーで活動するWEBデザイナー。境遇や仕事に対する価値観、抱えている悩みが似ていることから一気に距離が縮まり、なんでも話せる仲になりました。「お互いの得意分野は違うけれど、いつか一緒に仕事をしてみたいね」と語ってはワクワクする日々。まるで女学生のように一喜一憂をともにして過ごす私たち。見知らぬ土地で、まさかこんなに熱い想いを共有してお互いを高め合える友達に出逢えるとは…チャンスをくれた娘に感謝です。
あるとき彼女のクライアントがセールスライターを探しているということで、早速会ってみることになったのですが、実はこのとき妊娠2ヶ月。それでも迷いはありませんでした。
「次女が生まれてからのことは、その時考えればいい」
「今の自分にできることをやってみたい!」
それからツワリが落ち着いたころにお会いしたのが新潟市西区にあるITベンチャー企業でした。そこから詳しくお話しをしていくうちにライター募集が一転、私のこれまでの経験を活かせる広報担当もさせていただくことになったのです。
このママ友のお陰で巡ってきたチャンス、まさしく幸運の女神!今では週1ペースで肩をならべて商品企画で盛り上がる私達。“いつか一緒に仕事したいね”が叶ったのです。子育てしながらフリーランスで働く彼女からは学ぶことがたくさんあるのでいつか転勤で新潟を離れる日が来るまで一緒に働ける喜びを噛みしめて過ごしたいと思っています。一期一会を今ほど感じたことはありません。
年下ばかりのベンチャー企業に34歳の私!カギは“自分オープン化”
こうして広報を担当させていただくことになった会社は、東京から新潟に移住した若者4人が立ち上げたITベンチャー。なんと平均年齢26歳!(私34歳!)
「私はフリーランスという立場からどう貢献できるか。」とにかく考え、社長にどんどん提案し、自分の考えを伝えていきました。言われたことをこなすだけでは経験を活かせないし、外注だからといって遠慮をしていては、そこにいる意味がありません。もちろん育児家事もあるし別のライター案件も同時進行、おまけに妊娠中なので活動に制限もかかりましたが、とにかく積極的に関わるように心がけました。「挨拶は元気よく、報連相は素早く、素直に!」とか、新卒さんみたいなことも密かに心がけて。だって年長者の私がモジモジしてたらかっこ悪い!
もちろん地方と都内ではメディアの数も市場もなにもかもが違うので広報活動に戸惑いはありましたが、この“自分オープン化”が、やりがいある仕事とたくさんの素敵な出会いにつながったと感じています。オフィスのみなさんの優しい気配りとご理解をいただきながら、広報活動としては大手新聞社やテレビにおけるメディア露出の実績を残せましたし、妊娠9ヶ月頃まで活動することができました。
リフレッシュ方法はコレ!“その気”になればなんでもできる!
たいしたものではないのですが“お絵かき”が大好きです。元上司には「カネにならない絵のうまさ」と絶妙な賛辞をいただき、Instagramではのらりくらりと育児絵記録を描き綴っているのですが、これがとってもリフレッシュになっています。絶賛イヤイヤ期中の娘(2歳)に怒ってしまい寝顔に謝ることもあるのですが、娘を思い出しながらお絵かきする時間はとてもおだやかで優しい気持ちになれます。今では次女の登場でますます乳くさい“ほのぼの系”アカウントになりました。こんな風に、ささやかなことでも自分なりのリフレッシュ方法があると少しほんわかする気がしています。最近ではたくさんのママフォロワーさんに共感コメントや励ましをいただくので、こんな“つながり”も育児を楽しむモチベーションのひとつにもなっています。
今はとても便利な世の中になったので、その気になれば距離や場所をヒョイと飛び越えていくらでも“つながり”を持てるようになりました。テレビ電話やFacebook、Instagram、ときにはお手紙も素敵。親しい人達とお別れをして新潟に来たけれど、まずは“その気”になることが大事なんだなあと実感しています。もしかしたら東京で独身生活を送っていた頃よりも多くの方と関わり、心を通わせる豊かな時間を得られているかもしれません。
多くのものを手放し、失ったかのように思えた3年前。新潟という豊かな地方都市で、友人や家族に支えられ【主婦&ママ&個人事業主】という特別な時間の流れに身を任せてみたことで得たものがたくさんありました。むしろ、失ったものなんてひとつもありませんでした。これは今はっきりと言えることです。
第3話 完
【あとがき】
私の人生は“人”に助けられ導かれながら展開していると言っても過言ではありません。失恋してもリストラされても怪我してもお金なくても大泣きしても、いつもピンチから救ってもらいました。そして、結婚、退職、出産育児、新潟移住、独立開業、これらすべては“選択”した“結果=今”。支えてもらいながらも最終的に【選択できた自分】に自信を持っていたいと思っています。
素直に打ち明けて頼る勇気を持ち、支えてもらうことの心地よさを知り、恩返しできる喜びを噛みしめる、こんなふうに過ごせる今をとても幸せだと感じています。お世話になった人たちに胸を張って「元気にやってます!」と近況報告できる自分でいたい、そう思っています。できればちょくちょく報告したいな。
この「ママ人財.com」様で自身を振り返るチャンスをいただけたことにとても感謝しています。調子に乗って書き始めたら3回という長編に…(汗)最後までおつきあいいただきありがとうございました。一度しかない人生、自分で選んだ道、自分をフルに活かして、いっそ楽しみましょう!(と、偉そうにごめんなさい!)
目次
【第2話】おカネとココロはリンクする?働いてみて見つけた“自分の安定するポイント
【第3話】結局のところ、失ったものなんて何もなかったという話。
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